西洋占星術では、太陽と月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星を使って、人間の性格や資質を分析します。太陽や月や惑星の運行を調べ、それらが入っている星座を知ることで、その人がどんな価値観を持ち、どんな行動をとりやすいか、長所や欠点は何か、どんな分野に適性があるかなどが、浮き彫りになります。ホロスコープを深く観察すれば、その人が抱える心の葛藤やジレンマなどもわかりますし、自分をより輝かせるにはどうしたらよいかも見えてくるのです。
太陽、月、水星や金星などの惑星は、それぞれが人間の精神のいろいろな面を表わしています。太陽は精神の土台、根っこの部分を表わしますし、月は感情の動きをつかさどります。たとえば太陽が牡牛座にある人で、根本的には安定や平和を求める気持ちが強くても、月が牡羊座にあると、以外に怒りっぽい面があったり、平和な暮らしをおびやかされると、非常に攻撃的になったりします。
水星は、知性や左脳的な頭の働きを表わします。水星が双子座にあると、好奇心旺盛で、おしゃべりだったりしますし、乙女座にあると、勉強好きな傾向が表われます。たとえば太陽が獅子座で、おおざっぱな性格でも、水星が乙女座だと、ノートをきちんととるなど、どこかに几帳面さが出てきます。
金星は、ギリシャ神話のアフロディテ、ローマ神話のヴィーナスと関連を持つところから、愛と美をつかさどる星と言われています。恋愛の傾向や、異性に限らず、どんなふうに人を愛するかといったことや、どのような美意識や美的感性を持つかを表わします。愛や美に限らず、感性の傾向を探るときにも、金星が入っている星座を見ます。たとえば天秤座生まれで、ひとつのことに縛られるのを嫌い、地道な努力が苦手な性格でも、金星が蠍座や牡牛座にあると、強いこだわりを持って仕事に打ち込んだりします。
火星は行動の傾向を表わします。火星が牡羊座、獅子座、射手座など、積極的で行動的な性質の星座にあると、スポーツが好きだったり、思ったことをすぐ実行に移すアクティブな傾向が強くなります。むろん、太陽が入っている星座が慎重な性質だと、そういう積極性は表に表われにくくなりますが、ふとしたときに、意外な行動力を発揮したりするのです。
木星、土星、天王星、海王星、冥王星は、これまで述べた星にくらべると、性格や心の動きへの影響は薄くなります。こういう面も持っている、という程度のものです。ただし海王星は、直感をつかさどる星で、この星が蠍座や魚座など、直感の鋭い星座にあると、ほかの星がどういう星座にあるかによりますが、直感、霊感の強い人だったり、神や精神世界を信じる人だったりすることが多いようです。
このように太陽が同じ星座でも、ほかの星が活発な性質の星座にある場合と、もの静かな性質の星座にあるのとでは、性格が大幅に違ってきます。太陽の星座だけでは、人間を百パーセント理解することはできないのです。
自分の星が、どういう星座に入っているかは、占星術の天文暦で、生まれた日付の星の位置を見ればわかります。天文暦は大きい書店の専門書のコーナーで、みつけられると思いますが、特殊な資料なので、入手が困難な場合もあります。SPACE・和では、有料でホロスコープ性格診断を行っています。こちらをご覧ください。
個人の星の配置を記したものを、ホロスコープといいます。自分の性格や才能、資質が読み取れる、心のカルテのようなものです。迷ったり悩んだりしたとき、自分に立ち返り、自分をみつめることで、解決の糸口がみつかるかもしれません。自分の適性能力がわかれば、職業選択もしやすくなります。自分だけでなく、家族や他人を知るうえでも、役に立ちますし、特に子供を理解するために、重要な参考書となるでしょう。
それでは、実際にホロスコープをどのように解読していくのかをご紹介しましょう。プライバシーの問題から、実在の人をモデルにすることはできないので、アトランダムに生年月日と出生時間を設定します。設定した日の星の配置を使うと、その日が誕生日の人のホロスコープになってしまうので、星の配置を変えます。こうして作成したホロスコープをもとに、解読を行なっていきます。
A子さん 生年月日 1989年3月12日 出生時間 20時 出生地 東京都 星の配置 太陽…魚座 水星…魚座 月…水瓶座 金星…牡羊座 火星…射手座 木星…山羊座 土星…蟹座 天王星…蠍座 海王星…射手座 冥王星…天秤座 アセンダントの星座…牡牛座 (出生時間によって割り出されるアセンダントの星座は性格の一端を担う重要な星座です) |
性格の基本の部分を表わす太陽と、ものの考え方の傾向を表わす水星が、魚座にあります。魚座は感覚、感性が鋭く、情感豊かな性格で、弱いもの、傷ついたものを見捨てておけない、優しい性質です。親しい人が困っていると、少しくらい犠牲を払っても、その人の力になろうとするでしょう。
恋人や配偶者など、自分にとって大切な人に、献身的に尽くす傾向もあります。愛のためなら、自己犠牲をいとわない。自分の身を守ろうとする意識より、相手のためを思う気持ちのほうが強く、身も心もぼろぼろになるまで、相手のために力を尽くすこともあります。
魚座は繊細な神経を持っているために、言葉や暴力によって自分が傷つけられたり、互いに傷つけ合う修羅場を経験したりすると、そのことがいつまでも心に残り、痛手からなかなか立ち直れないことがあります。いろいろな成り行きから、相手を打ち負かさなければならないハメになり、相手を倒したとしても、相手に傷を負わせたという事実に、自分自身が傷ついてしまうようなところがあります。激しい闘争を勝ち抜いても、単純に勝利の美酒に酔い痴れることができない、非常にナイーブな面を持っているのです。
そのために魚座は、人との対立をなるべく避けようとします。反対勢力が現われると、真っ向から立ち向かうことは滅多になく、無駄な抵抗はやめて、流れに身をまかせるのです。魚座は相手を打ち負かす心の強さや神経の太さに欠けるかわりに、どのような状況にも順応する、柔軟性を持っています。生きていくために、どんな状況にも自分を合わせることができるのです。
これは魚座の本能的な処世術のようなものです。生まれ育った環境とはまったく質の違う環境に放り込まれたとしても、いつまでも馴染めないということはなく、生まれたときからその環境にいた人であるかのように、ものの見事に順応します。与えられた環境の中で、ごく自然に自分の力を発揮していくのです。
魚座は鋭い直感力にも恵まれています。自分のまわりに幾筋かの流れがある場合、どの流れに乗るのが自分にとってベストなのかを、直感で判断し、本能的にその流れに近づいていきます。人生の選択や生きる意味について、ごちゃごちゃと理屈っぽく考えたりはしません。「これだ!」と思ったものに素直に向かい、自分を活かしてくれる流れに、すんなりと乗っていきます。
月は感情や感性をつかさどりますが、A子さんの月は水瓶座にあります。水瓶座は自意識が強く、非常にプライドが高い性質で、人に弱みを見せることを、頑ななまでに嫌います。自分の内面やホンネには、誰でも必ず、あまり人に知られたくない、弱い部分があります。もし魚座の性質だけだったら、わりあい素直に自分の内面をさらけ出したりするのですが、プライドの高い水瓶座の気質を持っているので、内面の不安や悩みなどを他人にさらけ出すことは、あまりないでしょう。
弱みも含めて、自分の内面を赤裸々に語るなどということは、恥ずかしくてとてもできないのです。常にかっこいい姿を人に見せていたいという、水瓶座の自意識がそうさせるのです。
自分の内面を他人に見透かされないために、何かしらの演技のようなものが身についてしまう場合もあります。わざとおどけて見せたり、ユニークな冗談を連発したり、淡々としたクールな態度を装ったり……。傷つきやすく、プライドの高い気質を持っていれば、ナイーブな心を他人から守るために、カモフラージュの手段を考えるのは当然のことでしょう。ただ、ここで演技と書きましたが、本人には、演じるという意識がはっきりあるわけではありません。考えてやっているのではなく、本能的な自己防衛の意識から、いつのまにか身についた態度や仕草なのです。
魚座は優しさや温もりを人一倍求めますが、月が水瓶座にあるため、素直にそれを言葉や態度に出せない、甘え下手の傾向も出てきます。つらかったり、淋しかったりするときに、弱さを見せたくないために、逆に陽気に振る舞ったり、相手をとても好きなのに、顔を見るとつい憎まれ口をきいたり、といった具合です。自分の求めを拒絶されたときのことを考えて、甘えたい気持ちを抑えてしまうという心理もはたらくようです。
性格の一端を表わすアセンダントの星座は、牡牛座です。牡牛座はA子さんの性格に、落ち着きと慎重さを与えています。物事を推し進めたり、行動を起こしたりする前に、まずリスクや不安材料を考え、尻込みする気持ちがはたらくでしょう。
牡牛座はやや口が重いところがあるので、話し方がゆったりしていたり、言葉が足りず、話の内容が正確に相手に伝わらなかったりすることもあるかもしれません。心にわだかまりがあったり、緊張していたりすると、無口になりやすいようです。
A子さんのホロスコープでは、金星が牡羊座に、火星と海王星が射手座にあります。牡羊座、射手座は、火象星座と言い、“火”に象徴される激しい気性を、内面に持つ性質です。気が短く、行動力があり、グズグズと踏みとどまっている状態を嫌います。この性質は、アセンダントの牡牛座の性質とは正反対のもので、リスクを考えてなかなか行動できない自分にいらだったり、逆に気分や感情にかられて突っ走り、あとで不安にかられたりといった具合に、葛藤が起こりやすいことを表わしています。
魚座と牡羊座、射手座の組み合わせを考えると、気持ちが乗るとどんどん走り出し、ブレーキがきかなくなる恐れもあります。たとえば恋にのめり込んで、大胆な行動をとったりしやすいのです。夢中になっているときは、牡牛座の慎重さは影をひそめますが、ハッと我に返ったときに、クヨクヨ思い悩んだりするでしょう。
牡羊座、射手座は、負けず嫌いで、自己主張の強い性質ですが、牡牛座は自分を抑制するところがあります。プライドを傷つけられたり、不当な扱いを受けたり、嫌なことを言われたりしたとき、反射的に怒りを呑み込んでしまうことが少なくないでしょう。対立を避けようとする、魚座の性質も手伝って、自分を抑えますが、負けん気の強さは心の内側にくすぶり、いつか攻撃に転じるようです。ジッと我慢していて、突然、いわゆる“逆ギレ”の状態になったりしやすいのです。
相反する性質を合わせ持つことは、葛藤を味わうことですが、行動力と慎重さをうまく使い分けることができれば、物事を成功させやすい、バランスのとれた生き方が可能になります。若い頃は、それぞれの性質に自分自身が振り回され、悩みが多いでしょうが、経験を積むことで自己コントロールがうまくなり、いつアクセルを踏み、いつブレーキをきかせるべきかを、冷静に判断できるようになったりするでしょう。経験を積む、ある意味で失敗を重ねることで、自分を磨いていけるのです。
魚座は、物事を理屈ではなく、感覚、感性でとらえますが、感性が鋭敏なので、常識や既成概念にとらわれない、独特の発想をしたり、物事の本質を直感的に見抜いたりするところがあります。また、水瓶座は自分の美意識や価値観にこだわりを持ち、趣味でも仕事でも、自分のセンスや能力を発揮できる“マイ・ワールド”を大切にします。みんながやっていることをおとなしく真似るといった、没個性の生き方を嫌い、独自の世界を求める気持ちも強く持っています。
このふたつの星座の性質の組み合わせは、誰も思いつかなかった斬新な発想で、仕事を展開していったり、感覚的で独創的な仕事の世界を繰り広げていったりする可能性があることを示しています。水瓶座は科学やテクノロジーの分野で才能を発揮しやすく、魚座は芸術全般に適性があります。科学技術のジャンルを歩みながら、理論にとらわれすぎず、直感やひらめきが成功のもとになっていたり、先端的なテクノロジーを創作に活かすアーティストになったりする可能性があります。
水瓶座は時代の先端をいくものに興味を持ちやすいので、どのような分野に進んでも、新しいものを追い求める気持ちを強く持つでしょう。
水瓶座や、火星、海王星が入っている射手座は、束縛を嫌い、自由を求める性質で、組織の一員として生きることに、息苦しさを感じがちです。やりたいことを思う存分やれない状況には、強いストレスを感じるでしょう。しかし魚座の性質は、先に述べたように、どのような環境にも順応します。いろいろな不満はあっても、何とかやり過ごし、乗り越えていく、しなやかな強さを持っていると言えます。
組織に属さず、フリーランスで仕事をするのもよいでしょう。水瓶座、牡羊座には自分をアピールする、営業的な能力もあるので、道を切り開いていけるはずです。ただ、会社を作り、人を雇って、大きく仕事を展開していくのには、やや問題があります。ひとつは、計画性に欠けること、ふたつめは、人を統率するという点で、やや力が弱いことです。トップに立つということは、冷徹でなければならず、ときに冷酷な判断も下さなければなりませんが、優しすぎるために、情に流されがちなのです。
また個性の強い人間や野心的で強引な人間に、振り回されたり、引きずられたりする恐れもあります。こういった人間関係の問題は、心の大きな負担になるでしょう。
木星は、山羊座にあります。山羊座は、アセンダントの牡牛座と同様、地象星座に属し、牡牛座とやや似た、慎重、堅実、自己抑制という性質を持っています。木星が性格に与える影響は、さほど大きくはないので、牡牛座の性質を補強しているという程度に考えるとよいでしょう。魚座や水瓶座、牡羊座、射手座は、困難にぶつかったりしたとき、忍耐力に欠けるところがありますが、牡牛座、山羊座は、つらさをグッとこらえて頑張る粘りがあります。
全体として、挫折にはやや弱いところがあり、夢を諦めたり、捨て鉢になったりしやすいのですが、ぎりぎりのところで踏んばり、立ち直りをはかるでしょう。技術を習得するための、繰り返しの練習や、スポーツなどの苦しいトレーニング、なかなか先が見えない、長丁場の仕事にも耐えていけるはずです。
土星は、蟹座にあります。土星が性格に与える影響は、木星よりさらに小さく、ほんの少し蟹座の要素があるという程度です。蟹座は理屈よりも体験を重んじるタイプで、魚座同様、順応性に富んでいます。困難に負けない、雑草のような強さも持っており、どちらかというと夢見がちで、流されやすい魚座の性質を、現実的な強さで補っていると言えるでしょう。
最後に天王星と冥王星ですが、これらの星は、性格分析においては、あまり重要ではありません。天王星は蠍座で、冥王星は天秤座にありますが、蠍座、天秤座の性質が、A子さんの性格に顕著に現われることは稀です。
蠍座は良くも悪くも執着心が強く、人生の岐路にさしかかったり、大事件が起きたりしたとき、強いこだわりを持つ、非常に執念深くなる、といったことがあるかもしれません。ただ、性格の本質的な部分では、物事に強い執着を持つことはあまりないほうなので、執念深くなったとしても、ほんの一時のことでしょう。天秤座は蠍座とは逆に、あっさりした気質で、これは水瓶座のドライでさっぱりした性質とやや似ています。水瓶座が性格にもたらす性質を、天秤座が強めていると言えるでしょう。
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